学習支援実際の支援例

 

小学5年生で学習支援をスタートした男子

 

◎小学5年生

 初めて学習支援に訪れたときは、宿題ができない、学校の授業でも落ち着かないといった状態でした。漢字や計算に苦手意識を持っていました。多弁で姿勢が定まらない様子、筆圧が弱い様子から、学習に対する不安や緊張がうかがえました。

 

◎初期の支援方法

①緊張状態では手指の運動や集中力がそがれてしまうので、まず話をします。好きなことの話を聞きながら、リラックスや覚醒状態を大きくしていくと同時に、その子についての情報も拾い集めます。初めの頃はこれに30分くらいかかるときもありました。

 

②学習支援の中に「楽しいと思える時間」を確保するように努めました。カードゲームやベイブレード、動画やアニメ等々です。その後、簡単にできる宿題から始めます。宿題が終わり次第、話の続きや活動の時間を確保することを約束します。そのうちに好きな活動をたっぷりやりたいと思うようになって、来てすぐに宿題を始めるようになりました。

 

③スムーズに進められない宿題は協力します。宿題に長時間かかるとエネルギーを枯渇させてしまいます。子どもによって集中力とスタミナ、姿勢の保持にかかる筋力、手指の筋力、眼球運動の筋力には差があります。耐えられる時間を見極めながら、宿題を耐久時間内に終えられるように手助けしていきます。こうすることで手指や姿勢、眼球移動に関する筋力が鍛えられていきます。

 

④最初の頃、集中力の持続時間は12分が限界でした。その時間内で「やったらできた」という感覚を積み上げていくために、話しながら、また、実際にやってみせて見本を示しました。こうすると、聞くのが得意な子も、見るのが得意な子もサクサクと手が動きます。終わったら、それ以上学習を伸ばさず、すぐに好きなことに付き合いました。

 

◎小学6年生

 2学期末頃から中学校に向けた練習も加えました。県名の暗記、分数の四則計算、ローマ字の暗記、アルファベットの大文字・小文字の暗記です。一度にやると抵抗感が強いので、分割しながら少しずつその時間内に習得できるようにします。

 苦手意識を持っている子も分割方式でやると結構覚えてしまいます。分割度合いはその子の学習耐久時間内でできる量にします。苦手意識という脳からのブレーキを外していくと、自分でやり方を覚えて実践していきます。この子の場合は47都道府県の暗記を4回程度で習得しました。中学校に入っての初めてのテストで手応えがつかめるように学習内容を工夫していきました。

 

◎中学1年生

 中学校に入ったら毎日の宿題が30分から40分程度で終わるように練習を重ねました。部活を始めたこともあって、練習で疲れるので休養も十分に取らせたいと考えて、1年生では「宿題を毎日提出できること」を目標にしました。

 

◎中学2年生

 2年生になると宿題にかかる時間が少なくなってきたので、余った時間でテスト勉強をしました。毎日の宿題でテスト勉強をやってしまいます。余った時間で、社会や理科などの宿題が出ないものを始めます。これらは学校のワークブックで学習を重ねました。調べたり考えたりする学習は学校でやっています。学習支援ではそれを定着するための反復を行います。大好きな部活動では新人戦がありましたので、思いっきり練習できるように学習は効率がよくなるように考えました。

 ここまでで学習体力がついているので、それほどの苦労はありませんでした。テスト勉強は自分で成果が出そうな方法を試させてみました。点数の上下にはこだわりません。なぜなら、テスト範囲によって自分の得意・不得意領域の偏りがありますので、点数と頑張りは一致しないのです。2年生の終わり頃から3年生の1学期頃には、本人が自分にとって一番効率のよい学習方法を習得していました。

 

◎中学3年生

 3年生になると、既にやることが自分の中にできているので、宿題を終わらせ、自分でテストに向けた勉強を始めるようになりました。

 総合テストの見返しと次の作戦を考えさせるコーチングを実施しました。点数だけを目標にするのではなく、「何を・どういう方法で・何を使って学習するか」という行動目標として設定し、明日からやるべき課題が明確になるよう支援しました。

 3学期は完全に自分の力で、受験に向かって慌てることもなく、いつものように自分で設定したやるべきことを淡々とやっていく学習の時間になりました。落ち着いて学習に向かい、200点以上を取り、希望の進路を実現しました。

 

 高校に入っても自分で向き合い、問題を解決するための具体的な課題を見つけ、実行していく力を発揮していた様子でした。楽しく高校生活を過ごした後、就職を果たしたと聞いています。

 

 

 

保護者から

 三男が小学生だったころ、落ち着きがなく集中力もかけ、学校でも支援教室を利用していました。不安や困ったことがあると席を立ち、教室から出てしまうこともたびたびでした。

 学習面では

①鉛筆を動かすことが遅く、黒板の書き写しが困難

②マスから字がはみだしてしまう

③目で文章を追うことが苦手なため音読や文章問題を書き写しても間違ってしまう

など課題は多くありました。

 相談していた義母から学習支援の情報を聞き、学校の先生を通して紹介していただきました。本人に合わせた学習を見つけていただき、息子にとってとても大切な時間となりました。できるとすぐに褒めてもらい、息子は自信を持つことができたと思います。

 中学生になると学習のやり方も変わり、1時間なるべく手を動かすことが課題となりました。テストが近づくと計画を一緒に立て、テスト勉強のポイント、やり方を指示していただき、息子はできる限り実行して勉強しました。先生はテストの内容をチェックしてからアドバイスし、なぜできなかったなど、息子に考えさせてから話をさせていきます。

 高校受験が課題としてありましたが、できることが多くなった息子と、学校、そしてぱーむぼいすの先生とうまく連携をとり、一つ一つ山を乗り越えていくことができたと思います。おかげさまで希望の高校への進学がかないました。