相談事業トピックス

女子栄養大学の学生との意見交換を行いました (2021.11)

2021年6月の講義を受けた女子栄養大学の保健栄養学科保健養護専攻の学生が意見交換のために飯山に来てくれました。また、それが『北信ローカル』新聞に掲載されました。

女子栄養大学でオンライン講義を行いました (2021.6)

2021年6月に女子栄養大学の保健栄養学科保健養護専攻の学生に対して、ぱーむぼいす相談担当の清水美鶴先生がオンライン講義を行いました。

 

清水美鶴先生から

若年層の自殺について、経験を元にしてお話ししました。パワーポイントを使用し、なるべくわかりやすく伝えられるように工夫をしました。

学生さんは熱心に講義に耳を傾け、質疑応答の時にはたくさんの質問が寄せられました。オンラインではありますが、熱意や意欲を感じました。 

女子栄養大学栄養学部 新開教授から 

清水美鶴様にお話いただいたのは、本学の保健養護専攻の2年生74名に対してで、私が担当する「公衆衛生学」(全14回)の第12回授業「子ども自殺対策」の中でした。

このコースの学生は、大学を卒業するとそのほとんどが小中高の養護教員になっていきます。目的意識の高い学生が全国から集まってきており、4年間みっちりと勉強するまじめな若者たちです。

受講した学生の感想 

◎子どものSOSのサインを見逃さずにいち早く気づき、受けとめ、必要な支援に繋げることができるスキルを身につける必要があると強く感じました。悩みがあるが相談しない子どもたちの理由として、相談しても解決しないという声が上位にありましたが、相手の気持ちになっても本人にしかわからない部分はあると思うし、自分だけではどうしても解決できない問題もあるのは事実だと思います。そんな中で、どこまで相手に寄り添うことができるのか、味方になることができるのかが特に重要になるのではないかと私は考えました。

 

◎今回清水美鶴さんのお話を聞いて、私は様々なことを学びました。今まで私の身の回りには自殺をされた方がいなかったため、具体的なイメージがつかず、あまり理解ができていませんでした。しかし、今回清水美鶴さんご自身の貴重な体験談を話してくださったおかげで、自殺に対しての理解が深まりました。 この経験を生かして将来養護教諭になった際には、悩みを抱える子や身の回りに自殺を経験した子等のサポートして行きたいです。ありがとうございました。

 

◎私はパームボイスのようなNPO法人があることを授業で初めて知りました。迷い困っている子供を救いたいという思いで働く人は教員だけではないのだとわかりました。それと同時に学校の教員として出来ることが限られていることもわかりました。だからこそ、学校とうまく連携することで今よりもっと多く子供たちを救うことができると思いました。それを考えると養護教諭になる前にこのようなNPO法人があることを知れてよかったと思いました。清水さんが思うこととしてあげていた、「自分を大事にする、相談する、ボスを見つける、万人を救おうと思わない」という話は養護教諭として子供に対応するにあたっても共通して大切だと思えることが多くあると思います。今回とても貴重な話を聞けてよかったです。

 

 

◎今回お聴きした事例のような継続的な支援は養護教諭の立場上難しいですが、養護教諭として何が出来るのか考えました。自殺を考えるような子どもたちは、学校にも家庭にも居場所が無いと感じていることが推測されます。そこで私は保健室など学校内に子どもたちを受け入れる場を作ることが有効であると考えました。コロナ禍でサードプレイスを利用することが難しい今日、特に必要とされていると思います。また、家庭にも居場所を感じられない子どもたちは、家庭で自殺念慮について吐露する可能性は低いと予想され、気付きのプロとして養護教諭が日常観察を入念に行うことが大切だと感じました。教室でもない家でもない保健室の機能と、養護教諭の特質を最大限に生かして子どもたちに安心して過ごすことの出来る居場所を作っていきたいです。


コラム  相談現場から

その1

進路選択の多様性

 

 不登校が続き、学習への抵抗感が強くなっている子どもたちは、学ぶことへの拒否が強く出ます。昨年度も「学びたくない」という意思から中学卒業後にジョブカレに繋がったケースがあります。

 中学卒業後に就職に結びつく程の体力や気力がある場合は、社会に繋がるでしょう。がしかし、歩みを止めていた子どもには体力もなく、また経験値も少ない場合が多く見られます。時間をかけても不安を取り除きながら働く練習を積み上げていくことで、社会へと繋がっていくことができます。

 今年度もひとり、中学卒業後にジョブカレに繫がった生徒がいます。進路の選択肢の一つに入れていただくことで安心する生徒もいると思います。

 

その2

進路情報の必要性

 

 多くの子どもたちが人生において初めての進路決定をする中学生の時期に、学校へと足が向かない生徒たちは、インターネットで様々な情報を得ているかもしれません。学校へ足が向かない生徒にとって、高校進学のイメージは難しいことです。

 そんな生徒たちのために、県では「不登校等の生徒のための高校進学説明会」を11月に開催します。県立・私立・通信等多くの高校が参加して行われます。高校進学説明会へは中学1・2年の時に参加してほしいと伝えています。そこで直接高校の先生から話を聞いたり、資料を見たりする中で、自分に合った進学の道もあることを知ります。

 しかし令和2年度はコロナ禍のため、規模を縮小し中学3年生のみを対象に行われました。そのため長野市のいくつかの中学校は独自に進学説明会を3月に開催したと聞きました。できるだけ早く情報を伝えていきたいという願いからでしょう。

 早めに正しい情報を伝えていくことは、不安を少し軽減できたり、これからの学校生活に目標が持てたりします。早い時期から相談に繋がると対応できることが増えます。支援学級や不登校の生徒だけでなく、多くの生徒にいろいろな選択肢があることを早い時期から伝えていかれるといいと思います。年度末の相談は中学2年生の保護者が多く、早めに繋がってきていることは学校との連携のお陰です。

 

 

その3

小学生の学習・居場所支援

 

 小学2年生で九九の学習、小学3年生では外国語活動が始まります。学習への抵抗感が低年齢から始まっています。不登校の理由はいろいろありますが、学習への抵抗感もその一つです。令和2年度は小学生の支援が増えました。今までは個人的に繋がってきていましたが、学校やスクールソーシャルワーカー、家庭児童相談員等から支援依頼がありました。学校へ行かれない児童には居場所として支援するケースです。支援員との関係づくりをしながら家庭や学校以外で安心できる場の提供は、エネルギーチャージになります。早めの連携、対応で学校へ足が向き始めた児童もいます。小学校とも連携していかれるよう工夫していきたいと思います。